近況コーナー 高橋 明 Akira Takahashi

新作の製作過程や、日常での出来事など、
高橋 明さんがクレモナから近況を
届けてくれています。

2022.12.31 クレモナよりお越しいただいた高橋明さんより、先日のフェアについて寄稿して頂きました♪

12月2~4日に開催された宮地楽器小金井店のイベント「日本人製作家の饗宴」、大盛況のうちに終わりました。来ていただいた皆様、どうもありがとうございました。丸3年ぶりの日本帰国、そして日本でのイベントだけあり、すごく熱のこもったイベントとなりました。 それは同じく共演した9人の製作者としても、宮地楽器関係者としても同じで、小金井店にクレモナを再現するというコンセプトが実現していました。 (高橋明)

2022.11.01 クレモナの高橋明さんより近況が届きました!!!

宮地楽器小金井店に展示されている私の2021年作のヴァイオリンをご紹介します。楽器製作をしていると、木を削っていて節がでてきたりヤニ壺が出てきたりして、泣く泣く作り直すことがまれにあります。多くは欠陥材料として捨ててしまうのですが、時には音響的にも見た目にも非常に美しく捨てるにはあまりにも惜しいものがあり、今回の楽器はそういう材料をうまく修復して楽器に仕上げてみました。表板には小さい節が貫通しており、節自体は見えないのですが繊維がうねっています。裏板は黒い染みが出てしまったのですが、同じ材料を模様を合わせて埋め込みました。ほとんど見えないくらい修復しましたが、どこが修復した部分かわかりますか?(写真の矢印部分です)。完璧に修復しましたので、ご使用には全く問題はありません。最高の材料なので、非常に美しく、音色も私の理想が再現できたと思います。今までの私の楽器の中では最高傑作のひとつです。ぜひお手にとって試奏してみてください。 (高橋明)

2022.09.11 クレモナより、高橋明さんから近況が届きました!!!

今回は、ヴァイオリンの裏側のネックとの継ぎ目にあるボタン(イタリア語ではノチェッタ)と呼ばれる半円形の部分をご紹介します。あまり目立たず、単純な半円形が飛び出したような部分ですが、私はここもこだわって製作しております。ただの半円形と見えるボタンは、厳密には円ではなく少し上下につぶれた「おまんじゅう」のような形をしております。円の下半分は本体に隠れているため、正確な円形で作ると、下部が本体になだらかにつながって、先がとがったようなおむすび形に見えてしまいます。それをおまんじゅう形にするとより丸く見えて安定し、いわゆる「かわいい」ボタンになります。私は今まで目で見ながら形造っていったのですが、今回きちんとCAD(製図ソフト)を使って、正確に解析してみました。もとにしたヴァイオリンは、私がすごくボタンがかわいいと思っているGiuseppe Ornatiの1929年のヴァイオリンです。解析してみると、確かに直径21ミリの円(図では青色の線)から上下につぶれてまさにおまんじゅうの形をしています。それをもとに今回製作したボタン、うまくおまんじゅう形になっているかな~? (高橋明)

2022.08.01 クレモナの高橋明さんより、近況が届きました!!

7月29日から8月2日までの間に、ハンガリーのブダベストにて国際ヴァイオリン製作コンクールが開催されましたので、クレモナのシメオネ・モラッシさんとステファノ・コニアさんと共にハンガリーに行ってきました。このコンクール、実際のひとつの古いヴァイオリンにそっくりに作るという、かつてない変わったコンクールです。コンクールもいろんな催し物もたくさんあり、美しいブダペストも楽しめました。詳しくは私のブログにて掲載しております。
https://akiravln.exblog.jp/
(高橋明)

2022.06.21 クレモナの高橋明さんより近況をお寄せいただきました。ニス塗りのこだわりについてのお話しです!

今回はニス塗りの作業をご紹介します。私は普段アルコールニスを使っておりますが、どうしても縁の部分やf字孔の中などにニスが垂れて溜まってしまいます。そのため、ニスの色が完成に近づいたら、いったん表板・裏板の縁の部分やf字孔の中、渦巻きの角(面取り)の部分のニスをアルコールで落として、ちょうどいい色になるまで再度塗り直します。f字孔の中は本体より少し暗い色、縁や面取りの部分は本体より少し薄い色になるようにすると美しく仕上がるように思います。この作業、ニスを剥がすのは簡単なのですが、塗り直すのが大変。塗る面積は少ないのですが、同じ作業を始めから繰り返す二度手間です。でも、二度手間でも美しく仕上げるためなのでしょうがないですね。本当はこんなことしなくても一度できれいに仕上げられたらいいのですが・・・。 (高橋明)

2022.05.01 クレモナの高橋明さんより、近況が届きました!演奏者と楽器の、不思議なご縁のお話です。

今回は、2020年に製作した2台のヴァイオリンを紹介致します。これらは同時進行で製作した双子、それも全く同じ材料(同じ木の隣同士の材料)から同時に製作した一卵性双生児です。実際、作りはもちろん、外観や音色もほぼ差は無く、製作している私自身も作業中に何度も見分けるのに苦労する程でした。この、そっくりな双子を離ればなれにするのは可哀想な気がし、せめて所有される方が決まるまでは一緒にいさせたいとの想いで、宮地楽器にお願いする事に致しました。もし、2台ともご購入いただけるお客様がいれば、『ふたりのロッテ』の話の一卵性双生児の姉妹みたいに、仲良く弾いてもらえるのではないか、と希望もありましたが、現実には叶う事は無いと思っていました。ところが、先日来店されたご家族が同時に2台をご購入されたのです(小中学生の御兄妹の楽器として)。はからずも私の願っていたような形になったこと、夢が現実となり、奇跡のように感じております。これでこの2台のヴァイオリンも末永く一緒に居られ、兄妹の息の合ったデュエットを耳にするのも遠い未来ではないでしょう。木材から、この世に楽器として誕生したヴァイオリン。その後の運命を考えると、人も楽器も不思議な巡り合わせがあるのだと感じられる出来事でした。 (高橋明)

2022.03.07 クレモナの高橋明さんより近況が届いております!

前回のこの製作家近況コーナーの私の回でご紹介させていただいた、昨年ピゾーニェコンクールで優勝したチェロの発送ですが、その後日本にはちょうど1週間で無事到着しました。私がむちゃくちゃ厳重に固定したため、無傷でびくともせず完璧な梱包だったようです。直後の2月中旬に予定されていた宮地楽器チェロフェアに参加予定だったのですが、その前にあるお客様に気にいってもらいご購入いただきました。末永くご愛顧いただけることを祈っております。さて、次にチェロを作るのはいつになることだろうか・・・。 (高橋明)

2022.01.26 クレモナの高橋明さんより近況が届いております♪

新年の大きな仕事は、昨年のピゾーニェ国際コンクールで優勝をいただいたチェロを日本へ発送するための梱包作業です。写真のように業者間では安全のために弦や付属品を外しての発送が通常です。私はヴァイオリンやヴィオラでは慣れているのですが、チェロの梱包は今回初めて。標準の梱包方法にさらにひと手間ふた手間かけてより頑丈に楽器を固定しましたが、こんな感じで大丈夫なのでしょうか?なにしろデカい。中型の冷蔵庫くらいあります。無事に日本に到着するように願っています。このチェロは宮地楽器さんに行きますので、どうぞみなさん見てください。この記事が掲載されるころには日本行きの飛行機の中でしょう。(P.S.その後無事に到着しました!) (高橋明)

2021.12.05 クレモナ在住の日本人製作家 高橋明さんより、嬉しいお知らせが届きました♪

10月中旬にイタリアのブレーシャ州、ピゾーニェという湖畔の街で第12回ピゾーニェ国際ヴァイオリン製作コンクールが開催されました。私はプロ部門のヴァイオリンとチェロで参加して、ヴァイオリンで第2位準優勝、チェロで第1位優勝をいただきました。 みなさまの応援のおかげでよい成績を残せたことをうれしく思います。遅くなりましたが、この場をお借りしてご報告させていただきます。これからもがんばりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 (高橋明)

2021.10.05 クレモナの高橋明さんより近況が届きました。トリエンナーレ特別賞、おめでとうございます!

前回の菊田さんのご報告でもありましたが、クレモナで開催されている国際ヴァイオリン製作コンクール「トリエンナーレ」の表彰式が先日あり、私はイタリアンの伝統とスタイルを賞するA.L.I.特別賞をいただきました。 イタリアのヴァイオリンに憧れてクレモナに来て修行を続けている私にとっては、なによりも嬉しい賞でした。これも皆様の応援のおかげと感謝しております。 チェロ部門での根本和音さんの優勝も、この暗いニュースが多い世の中で、明るいニュースを日本にご報告できたと思います。 これをバネに、これからもよい楽器作りに精進したいと思っております。 (高橋明)

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