宮地楽器小金井店弦楽器部門

Violino Arvenzis2007 日本人製作者3名が入賞
優勝はクレモナ在住の天野年員氏

スロバキアの国際ヴァイオリン製作コンクール"Violino Arvenzis 2007"がDolny Kubinという街で2007年の4月末に開催されました。
このコンクールの特色は、音響審査が非常に重視されているということ。そのため、いくら外観が美しくても音が悪い楽器は、上位に残ることは難しいのです。 そんな中、ファイナリスト13名の中に3名もの日本人が入賞しました。
3名ともイタリア・クレモナ在住のバイオリン製作家。
今回は、5位入賞を果たした高橋明さんにレポートして頂きました。

天野年員氏
総合優勝、および最優秀技術賞の天野年員(あまのとしかず)さん。
天野年員氏
楽器製作者の審査員。左から、Tadeusz Slodyczka、Simeone Morassi、Raymond Schryer。
天野年員氏
音響審査の様子。カーテン越しに演奏され、誰の楽器が演奏中かは、わからないようになっています。
天野年員氏
今回の参加は世界各国から41本。この中からファイナリスト13本が選出されます。
天野年員氏
上位入賞を果たしたイタリア・クレモナ在住の日本人製作家3名。
左から、菊田浩さん(総合9位)、天野年員さん(総合1位、および最優秀技術賞)、高橋明さん(総合5位)


第1次審査は音響審査です。
バイオリンのソロでカーテンの後ろで楽器が順番に演奏されます。
各楽器とも、4弦の2オクターブ音階、そして現代風の小曲の一部が演奏されていきました。

第2次審査はバイオリン製作者審査員4人による技術審査です。
楽器の作りや仕上げを採点していきます。
第1次と第2次の審査の合計点数により、上位13台が決定され、ファイナリストとして
第3次審査が行われます。

2日目の午後に第3次審査が行われました。
第3次審査は公開審査で、ピアノ伴奏でのバイオリン演奏による音響審査。
第1次審査と同じ場所でカーテン越しにファイナリスト13台の楽器が演奏されました。
演奏はバイオリンの小曲2曲のごく一部。この時点では誰がファイナルに残ったのかまだ
誰も知らず、一般視聴者として聴いている参加者にも手に汗にぎる審査でした。


街のシアターホールで行われた表彰式は、コンクール事務局長Leonard Vajduakさんと
審査委員長のSimeone Morassiさんの挨拶の後に結果発表と表彰式授与があり、
下位から順番に名前が呼ばれるたびに声援と拍手が響き渡りました。
入賞者は以下のように発表されました。


高橋明氏
5位入賞の高橋明さん。


天野年員氏
上位3位までの楽器の展示。正面が、優勝の天野さんの楽器。

第1位優勝 天野 年員 (日本)
第2位 Sikora Bogdan (ポーランド)
第3位 Lukasz Wojciech (ポーランド)
第4位 Rozak Michal (ポーランド)
第5位 高橋 明 (日本)
第6位 Vancik Juraj (スロバキア)
第7位 Sandro Asinari (イタリア)
第8位 Husek Pawel (チェコ)
第9位 菊田 浩 (日本)
第10位 Krupa Marcin (ポーランド)
第11位 Danilo Fiorentini (イタリア)
第12位 Vancik Juraj (スロバキア)
第13位 Fabio Dalla Costa (イタリア)

最優秀技術特別賞  天野 年員 (日本)

最優秀音響特別賞 Sikora Bogdan (ポーランド)

ポーランド勢が2位から4位を占めたものの、クレモナから参加した日本人3人が入賞し、その中でも天野さんが優勝そして最優秀技術特別賞に輝いたことは、 世界に向けて日本人製作者の大きなアピールができました。またクレモナ勢が上位13人のうち6人を占めたことで、クレモナ勢も大健闘したと言えると思います。
なお、優勝した天野さんの楽器は、コンクールに買い上げとなります。
第2回"Violino Arvenzis"優勝作品として現地に永久に保管されることでしょう。

  本文、写真提供:高橋明(在クレモナ)      取材協力:宮地楽器 小金井店


今回の入賞者3名のバイオリンは、宮地楽器小金井店でご試奏いただけます。

(お問合せ先)宮地楽器 小金井店




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