宮地楽器小金井店弦楽器部門

宮地楽器がご推薦する3人の日本人製作家

弦楽器フェアの宮地楽器ブースでは毎年、世界的に活躍する3人の日本人製作家 菊田浩氏、高橋明氏、天野年員氏 を招き、その作品を展示しています。
彼らはいずれも、数々の難関コンクールで受賞を果たし、その実力を高く評価されています。
近年活躍の目覚ましい日本人製作家ですが、宮地楽器では以前から彼らの作品に注目し、積極的に取り扱ってきました。
メディアに取り上げられる機会も多くなった彼らですが、弦楽器フェアの会場で、より多くの方にその作品の魅力を実際に感じて頂きたいと願っております。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

■世界で活躍する日本人製作家

製作家が丹精をこめて作りあげたハンドメイドの楽器には、量産品では味わい難い音色と価値があります。
ヨーロッパでその長い歴史を紡いできたヴァイオリン族の製作ですが、近年ではその技術は世界中に広まり、国を超えて製作を学ぶ人も増えました。
かつては優れた楽器といえばヨーロッパ製とされてきましたが、日本人製作家の活躍とその実力は看過できないものとなっています。

日本人製作家への国際的な評価を確かなものにしたと言えるのが、菊田浩氏、天野年員氏、高橋明氏の3人の日本人です。
菊田浩氏は2006年のヴィエニアフスキーコンクール、そして2007年のチャイコフスキーコンクールで優勝。 天野年員氏は難関のViolino Arvenzisを2007年に制し、高橋明氏は2009年、2010年と連続してPisogne製作コンクールをヴァイオリンとヴィオラそれぞれで優勝、さらに今年の Violino Arvenzis で念願の優勝を果たすという快挙を成し遂げています。
印象深い出来事は、2007年のチャイコフスキーコンクールにおいて、菊田氏が1位、高橋氏が2位、天野氏が4位と、日本人製作家が上位を独占したことです。

ほぼ同時期に、ヴァイオリンの聖地といわれるイタリアのクレモナへ渡った3人。
留学からわずか10年の間に数々の国際コンクールで優勝、入賞を果たしたことは、まさに驚異的です。

菊田氏・2006年ヴィエニアフスキー国際ヴァイオリン製作コンクール優勝時
菊田氏・2006年ヴィエニアフスキー国際ヴァイオリン製作コンクール優勝時
天野氏・2007年VIOLINO ARVENZIS国際ヴァイオリン製作コンクール優勝時
天野氏・2007年VIOLINO ARVENZIS国際ヴァイオリン製作コンクール優勝時
高橋氏・2009年Pisogne弦楽器製作コンクール優勝時
高橋氏・2009年Pisogne弦楽器製作コンクール優勝時

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

■日本人製作家の作品の魅力

なぜ彼らは短い間にこれほどの実力を獲得できたのでしょうか。

おそらく日本人の真面目な性格と器用さは、ヴァイオリン製作には向いているのでしょう。 そして、彼らが突出した才能を持ち、高度な技術を身につけ、細部までこだわり抜いて製作していることは間違いありません。
しかし、イタリアへ留学した彼らが共通して口にするのは、イタリア人マエストロたちが重きを置くのは、むしろ細部の完成度でなく、楽器全体から発せられるイメージの方だということです。
細部の仕上がりよりも、全体の雰囲気を大切にするイタリアのヴァイオリン作り。 そんなクレモナのトップクラスのマエストロたちに学んだ彼らの作品は、日本人の気質とイタリア人のセンスを合わせ持った、新しい価値を有する楽器と、私たちは考えます。



■お客様に近い製作家を目指して

こうして生み出された彼らの作品は、アマチュア奏者からプロまで、実に様々な方にご愛用いただいております。
なかには、レッスンをスタートしたばかりのビギナーの方も大勢いらっしゃいます。
大切なのは、製作家が魂を込めて作った作品を、演奏する方が自身と共に育てあげていく気持ちです。
日本人製作家の作品を所有することは、作品そのものの魅力に加え、別の魅力もあると私たちは考えます。
製作家との距離が近く、直接会話をすることができるというのがそのひとつ。
作品を見るだけでは分からない、製作におけるこだわりや、製作過程の話を聞くこともできるでしょう。
楽器の音色を気に入っていただくことが第一ですが、さらに製作家をよく知ることにより、一生のパートナーとなり得る楽器に対する愛着はより一層のものとなるでしょう。

■宮地楽器と日本人製作家

宮地楽器では日頃より、上述の3人の製作家の他にも、私たちがその実力と将来性に注目した日本人製作家の作品を厳選して取り扱っています。
宮地楽器が作品を取り扱う製作家を選ぶ際には、 作品のクオリティの高さが私たちのお客様にお薦めするのにふさわしいということはもちろん、 その誠実な人柄と製作にかける情熱から、将来のさらなる飛躍や、お客様との末永い信頼関係を築けることが予感できることも大きな決め手です。
同様にヴァイオリン製作を行う日本人製作家も多くいる中で、注目に値する実力と存在感を持った製作家の作品だけを厳選してご紹介しています。

今回の弦楽器フェアでは、上述の3人の製作家に加え、将来性豊かな日本人製作家たちの作品を展示いたします。
彼らはいずれも若くしてイタリアへ渡り、努力と経験を積みながら、プロとしての道を着実に歩んでいる新進気鋭の製作家たち。
近年では彼らの作品は、基本に忠実で丹念なその作りや、完成度の高い音色で、店頭に入荷するとすぐに買い手のつく人気ぶり。 製作家として成長を続ける彼らは今後名実ともに人気製作家となることでしょう。

作品の展示だけでなく、製作家本人たちもブースにてお待ちしておりますので、彼らとその作品の魅力を、会場でぜひ感じてみて下さい。
製作者プロフィール・メッセージ
 
菊田 浩
菊田 浩
『9月にスロバキアで開催されたヴァイオリン製作コンクール「Violino Arvenzis」にて、「第3位・銅メダル」と「最優秀技術賞」を受賞した楽器を展示させていただきます。 また、この楽器はイタリア弦楽器製作者協会(ALI)から、「ベスト・クラフツマンシップ賞」も受賞しました。 私が12年間クレモナで学んできたイタリアン・スタイルを、この楽器から感じていただければ嬉しいです。 また、完成したばかりの新作ヴァイオリンと、2005年に製作した楽器も展示いたしますので、この機会にぜひ御試奏いただき、年月を経てどのように楽器が成長していくのかを実感していただければ幸いです。』

【主なプロフィール】
クラシック音楽のミクサーとしてNHKに20年間勤務したのちイタリアへ渡り、クレモナ弦楽器製作学校に編入。
ロレンツォ・マルキ、ニコラ・ラザーリの両氏に師事。
2005年 第1回ルビー国際ヴァイオリン製作コンクール 第4位入賞。
2006年 第1回VIOLINO ARVENZIS国際ヴァイオリン製作コンクール 第5位入賞。
2006年 第11回ヴィエニアフスキー国際ヴァイオリン製作コンクール優勝と同時に最優秀音響賞受賞。
2007年 第13回チャイコフスキーコンクールヴァイオリン製作部門第1位ゴールドメダル 受賞。
2012年 第13回トリエンナーレ国際弦楽器製作コンクール ヴィオラ部門で第5位入賞。
2013年 第5回VIOLINO ARVENZIS国際ヴァイオリン製作コンクール 第3位ブロンズメダル受賞。
     同時に最優秀技術賞、ALI賞を受賞。



 
高橋 明
高橋 明
『みなさまのおかげで、9月にスロバキアで開催された第5回国際ヴァイオリン製作コンクール「Violino Arvenzis」で 第1位優勝ゴールドメダルを受賞させていただきました。 今回は、コンクールとほぼ同時に製作した楽器を展示予定です。 製作スタイルや音響効果を少しずつ変えて製作した作品ですので、その違いなどを楽しんでいただけたらと思います。』

【主なプロフィール】
13歳で演奏と製作に目覚め、16歳で第1号のヴァイオリンを独学で完成。会社員生活ののちイタリアへ渡り、 クレモナ弦楽器製作学校に編入。プリモ・ピストーニ、アレッサンドロ・ヴォルティーニ、サンドロ・アジナリの各氏に師事。
2005年 第1回ルビー国際ヴァイオリン製作コンクールにて優勝と同時に最優秀技術特別賞を受賞。
2007年 第13回チャイコフスキーコンクールヴァイオリン製作部門 第2位シルバーメダル受賞。
2009年 第3回ピゾーニェ弦楽器製作コンクール プロ部門 第1位受賞。
2010年 第4回ピゾーニェ弦楽器製作コンクール プロ部門のヴィオラ部門 第1位受賞。
2011年 第4回 VIOLINO ARVENZIS 国際ヴァイオリン製作コンクール 第2位シルバーメダル受賞、同時に
     最優秀技術特別賞を受賞。
2013年 第5回 VIOLINO ARVENZIS 国際ヴァイオリン製作コンクール 第1位ゴールドメダル受賞。



 
天野 年員
天野 年員
『今回は、出来上がったばかりのヴィオラを展示しています。すでにお客様がお使いで、自由に試奏することは出来ませんが、ご厚意でお借りすることができました。 このヴィオラは、ジオ・バッタ・モラッシー先生の工房で修業を開始した2002年に、直接写させていただいた型を使用して作りました。 均整のとれた輪郭やf字孔は、作っていて迷うことなく作業を進めることができます。音響面では、日頃の調整や修理の経験を充分に盛り込んで作ってあります。 皆さまのご来場を心よりお待ちしています。』

出品作 Viola 2013 製作過程

【主なプロフィール】
イタリア・クレモナにてロレンツォ・マルキ、ジオ・バッタ・モラッシーの両氏に師事。その後、世界的鑑定家エリック・ブロット氏の下で銘器の修復に長年携わる。
2005年 ミッテンバルト国際弦楽器製作コンクール 第5位入賞。
2006年 第1回 VIOLINO ARVENZIS 国際ヴァイオリン製作コンクール 第3位入賞。
2007年 第2回 VIOLINO ARVENZIS 国際ヴァイオリン製作コンクール優勝と同時に最優秀技術賞を受賞。
2007年 第13回チャイコフスキーコンクールヴァイオリン製作部門第4位入賞。


 
高橋 尚也
高橋 尚也
「こんにちは、高知の四万十町というところでヴァイオリン製作をしています高橋尚也といいます。今回初めて宮地楽器さんのブースでの出展となります。 ヴァイオリン2本、ヴィオラ1本の出展予定です。試奏していただき、感想などいっていただけると嬉しいです。よろしくお願いします。」

【プロフィール】
高知県出身。都内の弦楽器製作専門学校を卒業後、2001年イタリアへ渡る。クレモナではモラッシー親子に師事し、その実力を認められ、アシスタントに抜擢される。 2008年からは世界的鑑定家エリック・ブロット氏の工房でも名器の修復に関わるなど、多方面で活躍。
2011年に帰国し、故郷の高知県高岡郡四万十町に自身の工房を開設。

出品作 Violin 2013 製作過程
高橋尚也 出品作(製作過程)



 
西村 翔太郎
西村 翔太郎
「初めて弦楽器フェアに参加させて頂きます。
クレモナにて、音響学など現代の技術を取り入れながら、次世代へと受け継がれる伝統工芸のあり方を模索しております。
今回はヴァイオリンとチェロを展示させて頂きます。
大型のフォルムの厚みのある音を感じていただければと思います。よろしくお願い致します。」
出品作 Cello 2013 製作過程
西村翔太郎 出品作(製作過程)

【プロフィール】
1983年京都府生まれ。2000年にヴァイオリン製作を始め、翌年イタリアへ渡る。2002年にミラノ市立ヴァイオリン製作学校に入学。 製作をパオラ・ヴェッキオ、ジョルジョ・カッシアーニ両氏に、ニス塗装技術をマルコ・イメール・ピッチノッティ氏に師事。
2008年、2009年にはイタリア国内弦楽器製作コンクールで入賞、2010年には同コンクール ヴァイオリン部門で優勝と同時にヴィオラ部門で第3位受賞。 現在、クレモナにてダヴィデ・ソーラ氏に師事しながら製作活動を行っている。




 
百瀬 裕明
百瀬 裕明
「この度、初参加させていただく百瀬です。今回展示する楽器は、ストラディバリの1703年モデルをベースとし、オイルニスを使用した楽器です。 より美しく、音のよい楽器をめざし日々製作に励んでおります。 音というのは好みがあると思いますので、今回のフェアでたくさんの方に弾いていただき、その貴重なご意見を直接聞かせていただけると幸いです。」

【プロフィール】
2005年にイタリア・クレモナの国立弦楽器製作学校に入学。 製作をダニエーレ・スコラーリ、バンナ・ザンベッリの両氏に、ニスをアンジェロ・スペルツァーガ、ロレンツォ・マルキの両氏に学ぶ。 2009年に同校を卒業した後、ファビオ・ヴォルタ氏の下で1年間の研修を修了。 2010年ミッテンバルト国際製作コンクールにおいて9位入賞。


出品作 Violin 2013
百瀬裕明 出品作



 
鈴木 郁子
鈴木 郁子
「今回の弦楽器フェアで展示する予定の楽器は、Stradivari の Cremonese をモデルにしました。 楽器製作家を志して以来、改良を重ね、模索しつつも作り続けているモデルの一つです。
楽器のアウトラインは丸く、女性の手でも無理なくハイポジションに届く楽器です。 音質は軟らかく且つ遠くまで響き渡るようなイメージで作っています。お気軽にご試奏ください。 感想などお聞かせいただければ今後の励みになります。」
出品作 Violin 2013 製作過程
鈴木郁子 出品作(製作過程)

【プロフィール】
2005年にイタリア・クレモナの国立弦楽器製作学校を卒業。在学中はジョルジョ・スコラーリ氏に師事。学外ではロベルト・マルッチ氏の元で製作を学び、 卒業後はシルヴィオ・レヴァッジ氏に師事。 2006年にはロンドンに渡り、ストラド、アマティ等のオールドを扱う一流修理人のアダム・ホーン氏に師事、数々の銘器に触れる。 2007年に帰国、都内の楽器製作専門学校において3年間製作指導にあたる。現在は青森県弘前市に自身の工房を構え製作・修理を行っている。






〒184-0004 東京都小金井市本町5-14-10
宮地楽器小金井店ショールーム 弦楽器部門
電話 042−385−5585   Fax 042−388−1188  
お問い合わせメール 所在地地図・交通
営業時間 10:00 〜 18:00  *年末年始・夏期の一部を除き年中無休